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2011/06/09

時間の概念が存在しない生活 〜アモンダワの人々の生き方〜

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[事例]
時間の概念が存在しない生活 〜アモンダワの人々の生き方〜


[フィールド] 〜Amondawa〜

BBCの記事が取り上げた調査によれば、
南米、アマゾンの奥地アモンダワ(Amondawa)に住む人々は、
時間に関する抽象的な概念がないといいます。

たとえば、「徹夜で仕事をする」といった考え方、表現方法がなく、
「~時~分」はもちろん、月、や年等、時間に関する言葉がありません。
「過ぎ去る」「後で」など、時を「指し示す」言葉も用いないといいます。

しかし一方で、アモンダワの人々が、(時間の概念を多分に含む)
ポルトガル語を修得する際には、難なく時間表現を使いこなすといいます。

「時間」に関する言葉を生まれてから用いた事のない人が、
なぜ、別の言語を習う際に、時間表現を操作できるのでしょうか?


▶ [調査] 〜「使えない」ではなく「必要ない」〜

University of PortsmouthFederal University of Rondoniaの研究者達は
アモンダワの言語が時間をどのように捉えているかのリサーチを開始しました。

注意しなければいけないのは、そこに住む人々が、「時間を欠いた」人々ではないという点です。

研究者は、「時間」というものが「彼らの認知の限界を超えている」わけでは全くなく、「日常において必要ない」という方が正しいと言います。
何しろ、出来事を順を追って説明することは日常的におこなえているのですから。



▶[仮説] 〜技術の影響とマッピング仮説〜

それでは、なぜ時間の表現が「必要とされなかった」のでしょうか。


▶①:
一つには、「技術」が影響していると考えられています。
研究チームは、時間に関わる技術が必要とされず、存在しないことによるのではないかという仮説を立てています。つまり、時計や、カレンダーのことです。


▶②:
また、一方では、アモンダワの人々が時間の流れや、出来事の連続性を認知していようとも、それを言語に明確に反映させる必要がないのだといわれます。

どういうことでしょうか、
例えば、アモンダワのような小さな社会においては、「川」や、「河岸」という言葉を使うよりも、その川の特定の場所の呼ぶ傾向にあります。一般的な名詞とそれを補完する「上流」や「下流」という言葉を用いるよりも、特定の場所をそののまま呼んでしまった方が手っ取り早いからです。

それと同じように、時間に関しても、空間のメタファー(過ぎ去る、後で)を用いず、より直接的な指示で代用できているということです。


時間にどっぷり浸かっていることもあり、その状態があまりピンと来ませんが、
とにかく、(外来語の流入や技術の流入で)言語の変化が起きる前に、
研究者達はその謎を解明したがっているようです。

(via BBC, 20 May 2011)


*[リンク]
BBC News, Amondawa tribe lacks abstract idea of time, study says
Pounch, 現代人のオアシス!? 「時間」の概念を全く持たないAmondawa族の生活とは
dailymail, No concept of time: The Amazonian tribe where nobody has an age and words like 'month' and 'year' don't exist
University of Portsmouth, Prof. Chris Sinha

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