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2012/05/04

オンラインサーベイの深化: Google Consumer Surveysとバイアスの低減

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今年3月に米Googleが初めたサービス「Google Consumer Surveys」が、群を抜いてスゴいオンラインサーベイのプラットフォームになりそうだ。現在、米国内を対象とした調査のみに対応しているが、今後の展開が楽しみである。今回は、バイアスの低減という観点で、同サービスのに期待出来る点を簡単に紹介したい。



▶Google Consumer Surveysの仕組み

Google Consumer Surveys(以下GCS)のホームページに行くと、以下の手順が解説されている。なるほど、AdSenseやAdWordsで培ったノウハウを活かして、オンラインサーベイに応用しているといった感じか。
  1. あなたがオンラインサーベイを作成・公開開始。
  2. 特定のページ(コンテンツ)へのアクセスの直前などに設置される。
    (おそらく、AdSenseの要領ページオーナーが設置)
    ⇒コンテンツにアクセスする為にユーザー(回答者)はアンケートに一問答える。
  3. コンテンツを保有するページオーナーは回答が発生する度にお金がもらえる
    あなたは、回答発生の度に10セント〜50セント支払う。
  4. あなたユーザーのサーベイ結果が集まる
それでは、具体的にGCSのどこがスゴそうか見ていこう。



▶Google Consumer Surveysの強み - バイアスの低減

<選択項目の順序をランダム化してバイアスを解消>

選択式の質問の場合。複数回答欄があるわけだが、どうしても「選択項目の場所」というのが回答のされやすさに影響してくる。例えば、選択項目の一番最後に最適な答えがあったとしても、序盤のそれっぽい選択項目で満足してしまうかもしれない。

この「選択肢の場所」というバイアスの原因を解消する為に、Googleは選択肢のランダム化(Randomize)という手段を提供してくれる。そんなコードを組むのはGoogleのプログラマには朝飯前だろうが、実際、オフラインのアンケート用紙を用いたサーベイでは出来ない技であるし、オンラインでも実装しているサービスは少ない。

via Google Consumer Surveys(動画)


<「調査への参加に好意的」という標本抽出バイアスの低減>

GCS以外にも、これまでに数多くオンラインサーベイの手段は生まれてきた。しかし、その中でもGoogle Consumer Surveysの強みは、「調査への参加に好意的」という標本抽出バイアスを低減してくれるのではないだろうか。

解説動画にもあるように、GCSに回答するユーザーはアンケートに答えようと思ってGCSの回答欄にたどり着くのではない。ユーザーは、いつも通りウェブを閲覧しているなかで、特定のコンテンツにたどり着くためにアンケートに答えるのだ。


しかし、映画の予告編を見る為に、長ったらしいアンケートに答えなければいけないとなると、たまったもんじゃない。Googleはその辺りもわきまえていて、質問事項は一回につき一つだけだ。

ただ、多少のバイアスは変わらずに残るかもしれない。オンラインへのアクセス頻度の少ないユーザーへのアプローチは他のオンラインサーベイと同様に弱いと言える。

しかしそれでも、「街頭インタビューに答えてくれる人」くらいあった標本抽出バイアスが、「ポケットティッシュを受け取ってくれる人」くらいにまで低減されるのではないかと思う。



【リンク】
Google Consumer Surveys - HOME
Google、企業向け市場調査サービス「Consumer Surveys」をスタート - ITmediaニュース

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